四角い風船+石上純也ギャラリートーク

今回の東京は早めに到着。羽田に8時半。
ホテルに荷物を預けて、早速向かったのは東京都現代美術館MOTでした。
MOTでは「SPACE FOR YOUR FUTURE」展が行われているのですが、
その出品作家の一人、石上純也さんのギャラリートークを楽しみにしていたのです。


その石上さんの作品《四角い風船》は、13×6×13メートル、重さ1t、4階建てビル相当の巨大なアルミの箱。
ヘリウムガスが充墳されたその箱は、美術館のアトリウムにゆるやかに浮かんでいた。

展覧会は上階から順に降りてまわる順路になっていて、私が3階の吹き抜けからのぞいたときは、視界がアルミの風船で塞がれていた。
ほんとにこれが浮かんでるのか、わずかな隙間からみえる床面や天井からもそれがつかめず。
やっと地階に降りて、アトリウムの床レベルに立って見上げたときに全貌がみえてくる。
その空間の広がりにはっとして、しばらくの間風船のゆったりとした動きをじっと見つめてた。



(写真は風船を眺めるひとたち。靴をぬいでカーペットの上に皆が座り込んでるのは、ギャラリーツアーの説明を聴いているからかな。でもその姿勢が作品と相まっている感じがした。)


《四角い風船》について、図録のインタビューやギャラリートークをまとめると、
石上さんが興味を持っている「風景」を、アトリウムの空間と巨大構造物でつくりだすことが意図された作品。
でも私にはアルミの箱のオブジェクトがどうしても強く感じられて、差し引いた残りの空間は等価じゃないってずっと納得できなかった。
帰宅してからもそのことを考えていたのだけど、このエントリーを書きながら地階から見上げたときの視界の広がりが思い出されて、
そんなことも石上さんの意図されたことのひとつなのかな、とか。
安全のため作品の横からしか眺められないけれど、ほんとは下にもぐって見上げると、空間の変容がもっと感じられるそう。
空調などの微妙な空気の流れでゆっくりと動きながら、かつダイナミックに変化する空間。
アトリウムの空間に巨大構造物という大きなスケール感を持ちながら、風船自体はビスやボルト、接着物のひとつひとつの重量を計算して設計されている繊細な作品。


お昼からのギャラリートークは、四角い風船前のアトリウム地階で行われた。
レストランやKPOでのテーブル、レクサスの展示構成、東京電力コンペの別荘などのお話。
ちょうど1年前、直島で初めて石上さんの講演を聴いたときにもやもやとした気持ちが残ったっけ。
あれから私もいろいろ感じとることがあったので、石上さんのプロジェクトにも違う解を見付けられたように思う。
そして初めての実作《神奈川工科大学の工房》がもうすぐ竣工されるということで、
全て大きさや角度が異なる柱がグリッドから外れたかたちで林立する空間がどんなものか、
私は実際体験できるのか分からないけど、そんな世界が現実に恒常的に立ち上がることに期待感。


↓四角い風船についての石上さんのインタビュー映像を見付けた。


↓四角い風船の制作風景の写真が載っている。山岸剛さんが撮影。


↓こんなページも見付けた。
http://www.kodama-good.com/otm/060seihin.html