『Water』(梅田ガーデンシネマ)

ときどきあることですが、ずっと更新をさぼってました。
まわりは気付いてなかったけど、このところの私は内心取り乱している毎日でした。




そうそう「Water」のことを書こうと思っていたところで止まっていたのだった。
吉田修一さんが自ら監督をされるというのに惹かれた映画だったけれど、
HPの「Production notes」のところを読むとその経緯があってさらにそそられた。
吉田さんはこの分野のプロではないし、製作側としても初めての作品だったから、
映画自体の完成度は期待してなかった。
でも他の監督作品でも初期の短編なんかには、その人のやりたいことが詰まっていて、
手慣れてないごつごつとした感触をなぞるのがいいと私は思ってる。
そういった意味ではこの映画も吉田さんの思い入れを強く感じられた。
(物語の内容は原作とは違っていて、現場に入ってからも脚本を大幅に書き直したそう。)


観る前はきっと長崎の風景やプールの青に感じ入るのだろうと想像していたのだけれど、
終わってみて残ったのは、原作ではそれほど強く書かれなかった同性愛らしき感情があらわれる場面で、
インタビューの言葉を借りれば「17~18歳の」「きっちりと性的嗜好が確立してない」
「揺らいでいる感じ」。
(監督自身はその部分は思っている以上に強すぎてしまったと反省されている。)
私はその感情には共感するところはなかった。
でも多分誰にでも個々にある性に関する後ろめたさを映像や文章にするとしたら、
私の場合はどんなものをつくるんだろうというのを、帰り道にぼんやり考えていた。

最後の息子 (文春文庫)

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