阿部海太郎ライブ(graf salon: fudo)

http://www.graf-d3.com/event/umitaro/index.html


(写真はまだ準備中のgraf salon)

ブログのタグに“阿部海太郎”と載せたままでなかなか書けないでいましたが、
阿部さんのお名前で検索されてくるのをちらほら見かけました。
私は全然阿部さんのことを知らなくて、grafのチラシの内容に惹かれて行ってみたのでした。


道路沿いに面する大きな窓の景色が暮れかけてゆく7時すぎに、ライブは始まりました。
阿部さんともう一人の演奏者の方(お名前を聞き取れなかった)は、
お二人そろって水色のチェックのシャツ、薄いブラウンのパンツ、
それにチロリアンって型の帽子になるのかな、なんだかおとぎ話の山の番人って感じのいでたちで登場。
構成は阿部さんがピアノを中心にアコーディオンとバイオリンを、
もう一人の方がクラリネットとサックスを演奏されるシンプルなものでした。
そもそも『パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地』というアルバムは、
阿部さんがパリ留学のお土産として作られた楽曲がもとになっていて、
阿部さんの宅録とパリの音を記録したフィールドレコーディングとで出来上がっているのです。
昔の映画音楽を彷彿とさせるようなクラシカルでエレガントな曲が並びつつも、
ジャズやサンバのニュアンスも加わっているのが新鮮な感じがしました。
そしてときどき2階のgraf:fudoから階段の吹き抜けを通して伝わってくる皿を洗う音なんかも、
演奏にすっかり溶け込んでしまっているのが不思議でした。


とても印象的だったのはD-BROSの週めくりのカレンダーの映像を背景のスクリーンに流しながらの演奏で、
特に3年分あったうちの最後(今年)のところの曲と映像が良かったと思います。
ただ楽曲がアルバムには入っていないようなのが残念。
THEATRE MUSICAのHPの“LABEL”の箇所にカーソルを持っていくと流れる曲がそれだと思うのですが、
そこでは波のように一瞬で消えていってしまって、私が今一番気になる音源になっています。
もうひとつ良かったのは「Pastis DUB ? minuit(真夜中のパスティスDUB)」という曲で、
アクサン記号のところは文字化けしてしまいますね)
強めの和音のピアノ伴奏と軽やかな口笛でリズミカルな始まり。
この曲はアルバムの7曲目にも入っていてCDでのアレンジを追いながら聴くのも面白いのですが、
アルバム解説の言葉を借りれば、“エコー”と“エレピ”がキーです。


パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地

パリ・フィーユ・デュ・カルヴェール通り6番地


そういえばgrafからの帰り道、玉江橋を渡りきったところで甘い香りに気付く。
香り香り…くちなしのにおい。
信号待ちの間、橋の袂の花壇をみると、暗がりの中に白い花びらが浮かんでた。
前の実家の庭にも咲いてたっけ。
間もなく朽ち果てて、茶色く醜くなってしまうんだ。