三分一博志氏の講演会

前回藤本荘介氏の講演会が行われた、竹中デザイン展に伴う企画。
http://d.hatena.ne.jp/syn_chron/20060721



残業が続いた週だったし、この日も早く帰れるとはいえ、
既に半分近く講演が終わってしまっているような時間だったので行くのを迷っていた。
でもやっぱり行ってみてほんとに良かったと思う。


あまりにも遅くなったので、失礼にならないように控えの間に座ろうとすると、
主催者の方に本会場に入るよう勧められる。
会場は全体的に埋まっているけれど藤本氏のときほどの活況は感じられず。
なによりも三分一氏の声がぼそぼそと消え入りそうな感じで聴きとりづらい。
でもしばらくすると、なんとか三分一氏の言わんとしていることが見えてきたような気がした。


環境に配慮したシステムで素材や自然の特性を活かしてつくる建築を、
「次の世代のためにシステムを提案しておく」
「地球に対して配慮した答えを持っておかなければならない」
という信念のもとに設計をされている。
講演のトークだけ聴いていると、あまり多弁な方ではないようだし、決して強いイメージは受けない。
でも設計されたものは真っすぐなコンセプトで貫かれていて、
写真でみていると神々しい印象すら感じられた。
面白かったのは質疑応答の時間。
竹中設計部の方が中心になって三分一氏に質問されていたんだけれど、
回答者からなんとか有効な言葉を引き出そうとする意図で質問を投げかけても、
三分一氏からは「それはない」「それは違う」といった応答で素っ気なく返される。
三分一氏よりもずっと話が上手いと思われる質問者が次々と斬られていくのをみて、
一見、弱々しく感じられる三分一氏の人として、設計者としての強さを感じていた。
雑誌などでインタビューをする人がいたら、随分苦労されるんだろうなあ。


今回の展覧会に伴う講演会では、個性的な建築家のお話がきけて大変有意義だった。
前回も書いたし、会場のアンケートでもお願いしたけれど、
次回はぜひ竹中工務店設計部の方自身で、講演会をしてほしいと思う。
あと設計部長の方が最後の挨拶でもおっしゃっていたけれど、
会場の立地は私も魅力的だなあと思った。
南は中央大通り、東は御堂筋という大きな通りに面した角地で、レベルは半地下になっている。
観客は南の中央大通りに向かって座わる形になって、
ちょうど街の真ん中で講演会をおこなっているような空間だった。