須田悦弘さんの講演会

国立国際美術館のギャラリートークに行ってきました。
今行われている「3つの個展」にともなったものです。
内容はというと、須田さんの初めての個展「銀座雑草論」から近作までをスライドで追って解説されていました。
ただ初期の作品のお話に時間をとりすぎて、
初めての海外での展覧会(1997年ベルリン)のあたりから急ぎ足になってましたが、
やっぱり初期のゲリラ的な展覧会のエピソードはほんとに面白かったです。

  • 「銀座雑草論」(1993年)

1時間300円のパーキングエリアに移動可能な空間を持ち込んでその中に雑草をモデルにした木彫作品を展示。
内部空間を純金箔張りにしたのは、雑草と不似合いなのがバカバカしくていいんじゃないかと思ったそう。
これと次の年の「東京インスタレイション」は山梨県立美術館のコレクションになっているそうなんですが、
なかなか公開されていないみたいなので、メールを送るなどの働きかけをしてもいいかなと思います。

  • 「東京インスタレイション2」(1995年)

3回目の個展。仮設空間ではなく初めてギャラリーを借りて行った。
初めて作品が売れたのもこの個展だそうで、買ってくれたドイツ人でガレリエ・ボンマシーネのオーナー、
フリードリッヒとは現在仕事上でもお付き合いをされているとのこと。
この展示は今行われている丸亀市の「雑草」のように、既成の空間に寄生する形をとっていて、
もうひとつの空間ごとつくる見せ方と2通りの方法をずっと取り続けているそうです。

  • 「東京インスタレイション2 2/3」(1996年)

初めてギャラリー側から依頼されて行った展示。ただし一日だけ。賞味6時間。
今まで切り花、花屋で売っているような花は好んでいなかったが、
あのきれいな色・形は人間を利用するためのものではないかと思い、
急に花のしたたかさが気になるようになった。
またギャラリーが青山にあることもあって、住んでいた立川にはないような「アマリリス」を選んだ。
(このあとスライドも続き質疑応答もあったのですが、特に面白く聴かせてもらったところを箇条書きにしました。)


須田さんの風貌は、アーティストというだけじゃなくて、気のいい芯の通った職人さんにも似ている感じがしました。
あの精巧な木彫をつくられている姿も想像できるなあと。
あとこれは私だけが感じたことかもしれませんが、言葉の端々から「時間」をすごく意識されている印象を受けました。
それは物事を急ごうとせかせかしているというのではなくて、
今まさに経過している時間、そして過去未来をしっかり感じて過ごされているということです。


最近の活動としてはメゾンエルメスでのオレンジ色のチューリップを、高松市美術館に展示したこと。(常設?)
10月から始まる直島のスタンダード展2に参加することがあるそうです。
直島また行きたいなあ。12月頃の予定を検討中。