「オルセー美術館展」(神戸市立博物館)

http://www.orsay3.com/


うーん、予想通り人が殺到していた。
この博物館はもと銀行だった建物を増改築しているので、
3階までの不揃いな平面のフロアーをあちこち移動することになる。
今回のような大規模な展覧会のときは大勢でぞろぞろまわるのでそれがとても億劫。
教科書に載っているような作品の前に人が殺到しているのにもうんざり。
私は写実的に描かれる作品にはあまり興味がなくて、
展覧会の第3章の中盤、
エミール・ベルナールの《日傘を持つブルターニュの女たち》のあたりになって胸が騒ぎだした。
そのあとセザンヌゴッホ、ボナールなどが続く。


今回の展覧会で面白かったのは、
最終の第5章で「幻想の世界へ」というテーマが取り上げられていたこと。
個人的に好きなルドンもクローズアップされていて嬉しい。
(パリのオルセーではまるでルドン部屋かのようなブースがあってご機嫌になった。
友人とはそのあたりではぐれてしまったけど。)
あと同じコーナーではギュスターヴ・モローの《ガラテア》が圧巻だった。
珊瑚の描き込みのために、海洋植物の研究がなされたそう。
ジョルジュ・ラコンブのベットの木枠を並べた《存在・誕生・愛・死》は
木彫で表現された人間の営みに強い存在感があった。
好みの画風ではないけれど、フランソワ・ガラの幻想的な建築を題材にした作品は、
SFアニメにも通じるような感じで面白い。


全部はまだ聴いていないけれど「オルセー美術館展」のPodcastがある。
http://www.nikkei.co.jp/ps/podcast/orsay/
館内の音声ガイドにもない解説が配信されていて、
作品そのものよりも作家の生涯に焦点があてられているので、
前もって聴いておくと鑑賞するのにふくらみを持たせることができると思う。
ギュスターヴ・モローって軽くひきこもり状態だったんだなあとか分かったりする。


関西での会期は来年初めまで。そのあと東京都美術館に巡回。