《和歌の浦アートキューブ》

http://www.city.wakayama.wakayama.jp/menu_1/art/0001.html

美術館のあとはバスに乗って和歌浦湾の方面へ。
お正月のときに読んだGAの座談会で、下吹越武人さんが挙げていた文化施設のことが頭に残っていたから。
そこで「和歌の浦へ入った途端に、何かハレの場へ来たような」と語られていたけれど、
確かに国道の道が入り江沿いに入ったときに、ぱっと視界が開けたのだった。


設計:A.A.E.
竣工:2003年



ここに来るまでは、活力のないさびしい建物を想像していた。
実際行ってみると、異なるボリュームの5棟からなる施設のあちこちが機能されているのを知る。
一番大きなホールでは高校生の演劇練習。
他の棟では写真展やフラダンスのレッスン。中庭ではスケッチの会。
竣工当時の建築レビューなどにあたっていないので私の勝手な見方なのだけど、
ひとつづきの棟をやめ分棟を選んだことで、それぞれの場が際立っているように感じた。
それらの個々を尊重しつつ、5つの棟は近い距離で隣り合っていて、
とくに2階は棟をつなぐ通路を通らないとお手洗いなどが利用できないので、
必然的に互いを気にし合えるような状況もつくられているのではないか。


この建物で惜しいなあと思うのは、海と敷地の間が車道で分断されていること。
これは伊東さんの《下諏訪町諏訪湖博物館・赤彦記念館》でも強く感じたことだった。
帰宅してから写真をみていると、それに対するひとつの解が建物にあらわれているような気がした、

一番下の層に入り江側の景色が映り込んでいる。
海と松林と橋が平面的な絵巻物のように映っていて、幅広の車道はとりのぞかれているかのよう。