SANAAのこと

syn_chron2006-07-26



昨夜のTBSのNEWS23で美術館が特集されていて、
筆頭に《金沢21世紀美術館》が登場していました。
その映像をみていたらまたなにかSANAAに関する資料を読みたくなったのでした。


以前のことになりますが、去年の4月29日《金沢21〜》でSANNAの講演会がありました。
妹島和世西沢立衛 SANAA展」にともなうもので、
定員180名のところ、それを上回る観覧希望者が殺到し、
美術館側がその状況を上手く整理できずに館内が騒然となったことを覚えています。
そういったトラブルはありましたが、できるだけ多くの人がSANAAの講演を共有できるように、
即席のモニター会場を設けたりといった手配がなされ、
私も会場外のモニターで講演を観ることができました。
本当は断るべきだったのかもしれませんが、後日その講演を録画したビデオも郵送していただいたんです。
今日はそのビデオを観ることにしました。


リアルタイムに講演を聴いていたときのメモと今日のメモを比べてみると、感じ方が違っていて面白いです。
前回のときは3作目に紹介された《森山邸》に衝撃を受け、最後まで尾をひいていました。
今日は《バレンシア近代美術館増築》が特に気になっています。
ご存じない方のために書くと、
この増築案は既存の美術館を穴のあいた鉄のパネルで覆うのが主なものです。
開口率3割程度のパネルのため、
外部からはコントロールされた日光・風・雨が入ってくることが想定されています。
パネルと建物の間はパブリックスペースとして計画されているのですが、
バレンシアの恵まれた気候のもと、
木陰の下にいるような心地良い空間になることを目指されているそう。
この案は初めてきいたわけではないのに、なぜひっかかってしまうのかというと、
先日のドミニク・ぺロー氏の講演でも
「覆う(もしくは包む)」というキーワードが多かったからかもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/syn_chron/20060719#1153331039

例えば《NEW MARIINSKY THEATER》を挙げてみると、
http://www.st-petersburg.ru/en/business/investments/projects/mariinka/
これは雪の結晶のような模様の金のマスクで中の建物を覆っていて、
シンボリックな装飾性を備えています。
けれど建物との間の空間は、《バレンシア〜》の方がより人の五感に届いてくるようで、
この視点は昨日読んだ『デザインの輪郭』が作用しているのかもしれません。


本文には関係ないですが、SANAAの《熊野古道なかへち美術館》(1997)の写真を載せておきます。






JRの駅を降りて長いことバスに揺られながら向かった行程が記憶にあります。
美術館で遠慮がちにシャッターを押していると、
警備の方が親切に撮影可能なぎりぎりのラインを教えてくださったのでした。