プライス・コレクション/若冲と江戸絵画展(京都国立近代美術館)

行きそびれていた絵画展に。京都は11月5日まで。
このあと福岡と愛知にも巡回するみたい。
遅蒔きながらここのデザインもしばらく若冲にしてみる。
メディアでも取り上げられているので「プライスコレクション」についてここでは書かないけど、
下記の展覧会公式ホームページを参考に載せておく。
http://www.jakuchu.jp/


会場は普段企画展が行われる2階だけでなく、4階のコレクションギャラリーや1階にも展開されていた。
それは作品点数が多かったせいなのかもしれないけど、自動的に美術館全体をまわる仕組みになっているのがいい。
恥ずかしながら1階の休憩所の壁にリチャード・ロングの作品が描かれていることを初めて知った。
作品の大きな円の画材に興味を持たれた年配の男性もいらっしゃった。
またぜひこういった会場構成を行ってほしい。


プライス・コレクション展の作品全体を通してみると、観るべきなのは大きな屏風絵だなあと思う。
私は研究者ではないし、混み合った展覧会での集中力は限られていると考えているので、
初めにざざっと会場をまわってじっくりと観るべき作品をピックアップしてしまう。
今回は「第3章エキセントリック」にある2つの水墨画が素晴らしいと感じた。

  • 伊藤若冲『鶴図屏風』
  • 葛蛇玉『雪中松に兎・梅に鴉図屏風』

本来は若冲だったらモザイクで描かれた『鳥獣花木図屏風』を挙げるべきなのかもしれない。
でも『鶴図屏風』の筆運びの巧みさや、
「筋目描(すじめがき)」と呼ばれる技法を眺めるのはいつまでたっても飽きない。
それだけこの絵の深みを感じる。
蛇玉の『雪中…』は全体を墨で塗って闇をつくり、胡粉を吹き散らして雪を表現していた。
今だったら子供でもやるような技法だけれど、水墨画では初めて観たので驚き。
驚きといえば長沢芦雪の『白象黒牛図屏風』の構図も大胆だった。