「都路華香展」

前川國男展の前に、京都国立近代美術館へ。
関西文化の日ということでこの土日はいろんなところが入館無料。
河原町からのバスが《京都会館》の前を通りかかったところで、
建物にかかる紅葉に気付き、思わずひとつ前の停留所で下車。



このあとの講演会でも京都会館のお話は幾度も出てきて、
(地元だから当たり前なんだけど)
やっぱり立ち寄っておいて良かったなあと思った。


「都路華香展」は一般的にそれほど知名度が高いとはいえない画家のせいか、
無料でも人はまばらでゆったりと鑑賞できた。
かくいう私も都路華香をよく知らず、フリーなら観てみようかなあという感じだったんだけど。
この展覧会のみどころは明治44・45年あたりから独創性が芽生えてくるところではないかと思う。
《緑波》や《良夜》の作品が顕著で、スケッチにしてもただ風景を詳細に写しとっていたものが、
この頃から斬新な構図を目指すようになっているのがよく分かった。
華香は明治3年生まれだから、このとき既に40代にさしかかっていたということになる。
そして私の勝手な見方で書けば、その独創的な時期は数年のことで、
それ以後は守りの姿勢に入っていくような向きを感じる。
会場全体、つまり都路華香という画家のコンパクトな歴史を眺めれば最盛期は短く、
それでもそのためにずっと描き続けていた人生。
でも後年は文展で特選を受賞したり、帝展の審査員になったりで、
この時期の方がずっと恵まれていたとも考えられるけど。


コレクション展(常設展)には野村仁の《HEARING》のブースがあった。
この方の作品初めてだったけど、写真と音による路上観察かな?って観てた。
CDウォークマンで作品を聴くこともできて、路上の記録を口述で行っているのが面白い。
車のナンバーまで伝えているのが可笑しいけど、実際目にしているかのような詳細な描写だった。


ほかにはやなぎみわさんの案内嬢をモチーフにした写真も。
あちこちのコレクションでいろんなパターンの案内嬢シリーズを観るけど、
いちど個展が観てみたいな。
調べたらいくつか行ってるみたいだけど、
http://www.yanagimiwa.net/exhibition.html
次回はぜひ出身地でもある関西で開いてほしい。