「大阪アートカレイドスコープ2007」

楽しみにしていたイベントだったのに、結局最終日にまわることになってしまった。
先日奈良さんの映画を観に行ったときに、イベントの一部の作品も鑑賞していたのだけれど、
期待していたほどの作品ではなかったのにがっかりして、すっかり行く気が失せていたのだった。


今日も始めのうちはなかなか作品に感じ入れないまま、大阪の街をまわっていた。
そんな私の気持ちが一気に盛り上がったのは、淀屋橋駅南にある芝川ビルだった。

中に入ると、エントランスホールの両はじに2体の小さな人形彫刻があるのに気付く。

山崎龍一さんの「Culture-bound syndrome」という作品で、
引きこもりや対人恐怖症といった精神疾患をテーマにされているそう。


1階の展示部屋に入ると、石塚沙矢香さんの作品の赤が目にとびこんでくる。




左奥ではCharles-Eric Billard+Yangjahというふたりの外国人による映像作品が流されていた。
(作品名「Alien Strings」)
右奥の開口を抜けると地下への階段に続き、
そこにも「Culture-bound syndrome」が置かれている。


地下室には竹内貴子さんの作品「純情可憐の匂い」


地下室を出て階段の上に洗面室があるのに気付く。
またまたそこにも「Culture-bound syndrome」が。
まさに寄生しているという感じ。


個々の作品にそれほど強い力があるとは思えないけれど、
近代建築の独特の空間に置かれることによって、
建物と作品の魅力が互いに引き出されているように思えた。
そして複数の作品がほどよく混ざり合う感じも、
ホワイトキューブの展示室ではなかなか出せない味わいだろう。


大阪府立現代美術センターが発行している情報誌「plug」に、
今回のカレイドスコープ展プロデューサー北川フラム氏のインタビューが掲載されている。
その記事によれば、市内全体にアート作品を展開させるという案は去年10月に決められたそうで、
準備期間は多くとれなかったようだ。正直行ってみて面白くないものもあった。
でも前述の芝川ビルぐらいクオリティーが高いものが集まればきっと話題になるはずだし、
他の地方よりもずっと容易く集客できるだろう。
そしてもっと府と市が一体になって宣伝をしてほしかった。
会場をまわるのになんども地下鉄やバスを利用するのだから、
もっと大阪市交通機関にポスターなどが貼られても良かったのに。
マップと合わせて一日乗車券を販売しても良かったのに。
そんなことを書いている私も会期後にしか感想をお伝えできなかったけれど。
会場で販売されていた小冊子を読みながら、関西アートに関するNPOを調べておこうという気になる。


アーティスト関連リンク

↓Yangjahさんの写真で芝川ビルの設営風景が見られる。
http://www.flickr.com/photos/yangjah/sets/72157594577209725/show/